JR東海は1日、東海道新幹線(東京ー新大阪間)が開業60周年を迎えました。
新大阪駅では朝6時の始発列車の出発に合わせ、出発式が執り行われました。
新幹線開業前は在来線で6時間半かかっていた東京ー新大阪間が、1964年10月1日の東海道新幹線開業により、4時間に短縮されたそうです。
尚、現在ではのぞみ新幹線の利用で約2時間半にまで短縮されています。
ここまで、東海道新幹線について紐解いてみました。
この記事では開業60周年を迎えた新大阪駅・東海道新幹線に関係するこれからの関西鉄道事情について深掘りしていきます。
鉄道業界の大手 JR
皆さんも一度はJRの鉄道に乗ったことがあるのではないでしょうか?
JRとはJapan Railwaysの略称で、1987年にJRの前身である国鉄の民営化により、発足した鉄道事業者の総称です。
JRグループにはJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物の6社があります。
*正式名称はJR東日本→東日本旅客鉄道、JR西日本→西日本旅客鉄道などとなっていますが、本記事ではわかりやすくするためJR表記で明記していきます。
東海道新幹線はJR東海管轄、関西のJRの在来線はJR西日本の管轄となっています。
JR 関西では実は…
JRは国鉄時代の路線を引き継いでいるため、他の鉄道会社に比べ優勢であると思われます。
確かに、関東ではJRの路線数が多く、営業キロ数(鉄道路線の総距離)が長く、主要都市を網羅しています。
一方、関西では路線数があまり多くなく、営業キロ数も多くなく、主要都市も網羅されていないところもあり、関東のJRと比べると劣勢的な情勢となっています。
その1つの理由として、JR以外の私鉄勢力が強いことが挙げられます。
関西の私鉄事情
主要な関西の私鉄には阪急、阪神、近鉄、南海、京阪があります。
他にも大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)、北大阪急行などがあります、
関西では私鉄勢力が強く、私鉄王国・関西と呼ばれることもあります。
私鉄各社の個性や独創性が強く、JRに劣らない魅力があります。
関西私鉄が強い最も大きな要因が営業キロ数が長いところです。
こちらの表を見ると、関西の私鉄勢力が関東に比べ強いことがわかります。
JRは営業エリアがとても広いため、比較してもわかりにくいかもしれませんが、日本の人口の大半が住んでいる関東の鉄道状況と比較すると、関西の私鉄が強いことがお分かりいただけるのではないでしょうか?
関西の主要駅 大阪駅・梅田・ウメキタ?
鉄道における関西の玄関口といえば、新幹線の停車駅である新大阪駅ですが、主要なターミナル駅といえば、大阪駅です。
大阪駅近辺にはJR以外の路線もたくさんあり、大きなターミナル駅となっています。
関西以外の方(主に関東などの方)にはあまり馴染みがないかもしれませんが、大阪駅があるのは梅田です。
梅田にはJR大阪駅以外に、阪急梅田駅、阪神梅田駅、大阪メトロ梅田駅、大阪メトロ東梅田駅、大阪メトロ西梅田駅、JR北新地駅があります。
JR・私鉄ともにたくさんの路線や駅があるため、特に観光で来られた方(主に関東などから来られた方)は初見で乗りたい路線にスムーズに乗り換えることは到底不可能であると思います。
私も修学旅行で大阪に初めて来た時に、JR大阪駅から阪急梅田駅に乗り換えるのに30分かかりました。笑
そんな大阪駅のある梅田ですが、ここにウメキタ駅があるのをご存知ですか?
新エリア・うめきた うめきた駅
先月、梅田にとあるエリアが開業しました。
それが新エリア・うめきた2期区域です。
1期区域はすでに開業しており、グランフロント大阪のあるエリアです。
今回開業したのがグラングリーン大阪とうめきた公園です。
商業施設となっていて、都市型緑化や公園が設けられていて、都心のオアシス的な感じになっています。
詳しくは
うめきた
検索してみてください!
そんなうめきたエリアにあるのがうめきた駅です。
うめきた駅は2023年に開業したJRの駅であり、近未来感のあるデザインになっています。
実は、うめきた駅はJR大阪駅と改札内で繋がっているため、大阪駅の一部という扱いになります。
そのため、正確にはうめきた駅ではなく、JR大阪駅内のうめきたエリア、うめきたホームという扱いになります。
既存の大阪駅のホームは2階にあり、1〜11番線まであります。
新エリアうめきたホームは地下2階にあり、21〜24番線まであります。
うめきたホームは大阪駅のホームから少し離れているため、乗り換えには時間がかかるので注意が必要です。
乗り換えが不便なのに、なぜうめきた駅ができたのでしょうか?
*この記事ではわかりやすくするため、この後もうめきた駅と表記していきます。
うめきた駅のメリット
うめきた駅ができたことにより、新たな路線が大阪駅まで延伸し、これまで止まらなかった特急列車が止まるようになりました。
おおさか東線
おおさか東線は大阪から東大阪、奈良方面へ向かう路線です。
うめきた駅ができる前までは新大阪駅がおおさか東線の発着のターミナル駅となっていました。
うめきた駅ができたことで、大阪駅が発着のターミナル駅となり、乗り換えの利便性が上がります。
元々、大阪駅はJR・私鉄ともに複数路線が乗り入れているターミナル駅です。
一方で、新大阪駅は新幹線、JR在来線、大阪メトロ御堂筋線であり、大阪駅と比較すると乗り入れている路線は多くありません。
これまで、大阪駅と新大阪駅の2回の乗り換えが必要であった方は、大阪駅の1回の乗り換えだけで済むため、利便性が上がることになります。
特急列車の乗り入れ
特急はるか
特急はるかは関西国際空港に向かう特急列車です。
これまでは大阪駅に乗り入れしていなかったため、別の快速列車で行く必要がありました。
特急はるかの乗り入れにより、約20分の短縮になり、利便性が格段に上がります。
一方、乗車料金に加え、特急料金が加算されるため、お値段は上がります。
特急くろしお
特急くろしおは和歌山、白浜方面へ向かう特急列車です。
これまでは大阪駅に乗り入れしていなかったため、別の快速列車で行く必要がありました。
特急くろしおの乗り入れにより、和歌山駅まで約30分の短縮になり、利便性が格段に上がります。
こちらも、乗車料金に加え、特急料金が加算されるため、お値段は上がります。
未来のうめきた駅
現状でもうめきた駅の新設により、大阪駅の利便性は向上しました。
実は、大阪駅の利便性はさらに向上するんです!
なにわ筋線
なにわ筋線はうめきた駅とJR難波駅を結ぶ新たな路線です。
さらに、うめきた駅から南海電鉄新今宮駅も結ばれます。
うめきた駅から途中の西本町駅(仮称)まではJRと南海の共同運営、西本町駅(仮称)からJR難波駅まではJR運営、西本町駅(仮称)から新今宮駅までは南海運営となる予定です。
なにわ筋線は2031年春開業予定となっています。
この路線が開業することで、大阪を南北に移動できる新たな路線が誕生することになり、利便性が上がります。
先ほど記載した特急はるか、特急くろしおは現状、うめきた駅から大阪環状線を走行し、天王寺駅から阪和線に直通しています。
なにわ筋線が開業すれば、うめきた駅からなにわ筋線を走行し、JR難波駅から大和路線に直通、天王寺駅から阪和線に直通すれば、今よりも走行ルートが短くなるため、時間短縮につながるのではないかと考えます。
新大阪連絡線・なにわ筋連絡線計画
こちらはプロジェクトの計画段階のものですが、新大阪からうめきた駅を結ぶ新たな路線となるものです。
現在の阪急十三駅の地下に新たな新駅が作られる見通しです。
新大阪駅から十三駅を新大阪連絡線、十三駅からうめきた駅をなにわ筋連絡線としています。
さらに、なにわ筋線との接続方法も検討されています。
現段階ではうめきた駅で直通になるのか、乗り換えになるのかは決まっていませんが、利便性が向上することが期待されています。
一方で、この計画にはいくつかの問題点があります。
問題点1 JR・南海電鉄
この計画は阪急電鉄、南海電鉄にはメリットがありますが、JRにとってはメリットがなく、デメリットにすらなります。
JRにはすでにうめきた駅ー新大阪駅間はおおさか東線で繋がっています。
新大阪連絡線・なにわ筋線で接続されてしまうと、乗客が分散してしまう可能性が高いと思われます。
また、このプロジェクトは大阪市と阪急電鉄によるものであり、JRと南海電鉄は関わっていません。
なにわ筋線との接続にはJRと南海との交渉が必要になるため、現段階で実現されるかのかはまだわかりません。
問題点2 リニア中央新幹線・北陸新幹線
この計画では新大阪連絡線を新たに作るため、新大阪駅に新たな新駅またはホームが必要となります。
すでに、新大阪駅には新幹線、JRの在来線、大阪メトロ御堂筋線が乗り入れています。
さらに将来的に新大阪駅はリニア中央新幹線、北陸新幹線の発着駅となるため、それ用の新駅やホームを作る必要もあります。
そのため、用地の問題やJR側との交渉などの問題が発生すると予測されます。
現状、リニア中央新幹線の開通や北陸新幹線の延伸はプロジェクト段階であり、こちらも用地取得問題やルート決めの問題などがあると考えられます。
もちろん現状ではいつ開業するのかは決まっていません。
JRは自社のプロジェクトであるリニア中央新幹線や北陸新幹線を優先すると考えられるため、それ次第では新大阪連絡線・なにわ筋連絡線がどのようになるのかもわかりません。
結局、うめきた駅はどうなるの?
現状、なにわ筋線が2031年春に開業する予定であり、それにより利便性が高まるということは確定しています。
新大阪連絡線・なにわ筋連絡線、リニア中央新幹線、北陸新幹線は現状ではどのように進展するのかはわかっていません。
今後の情報を期待して待ちましょう!
まとめ
ここまで、関西の鉄道事情について紹介してきました。
新大阪駅・東海道新幹線からは少し派生し過ぎてしまいましたが、こちらが私鉄王国関西におけるJRの逆襲です。
関西にお住まい以外の方にはピンとかないかもしれませんが、知っていただけたら嬉しいです。
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